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『お茶とあんみつと君』
「じゃあ、今度お茶しようね!」と言ったぼくに。
「お茶とあんみつ~!」と、君は応えた。
だから、ぼくは。
迷わず、人形町に向かったのさ。
だって、そこには「初音」があるから。
男独りで、ふらっと甘味処へ。
それが許されるのも、人形町だし、初音だからか?
ガラッと引き戸を開けて、入口近くの一番隅の席に座る。
「白玉あんみつください! 黒蜜で!」
お茶をすすりながら、待つこと数分。
黒蜜がキラキラ光る白玉あんみつの登場だ!
久し振りに食べた、初音の白玉あんみつは。
やはり、間違いない味だった。
餡、白玉、黒蜜、求肥、寒天、豆、杏、みかん、そしてチェリーに至るまで。
クセがあるようで、クセがない。
バランスも味も食感も、至極真っ当に仕立てられている。
やはり、ここのあんみつは間違いない。
だから、次は。
君と一緒に、この店に。
『お茶とあんみつと君』
了