44 『恋にしたくない気持ち』
君に、逢う度に。
ぼくは少しずつ、不安になる。
それは、今まで感じたこともないほどに。
穏やかで、幸せな気分になれるから。
そんな幸せを失うことが怖くて。
ぼくは、君を好きになり過ぎないようにしていた。
きっと、君もぼくと同じように。
こんな幸せを、失うことが怖いんだと信じられるから。
だから、ぼくは。
ずっと、君への気持ちをセーブしているんだよ。
「あなたへの気持ちは、恋にしたくないの……」
ふと、そう呟いた君の言葉が。
本当に、ぼくの気持ちと同じだったから。
ぼくは、君への気持ちを押し隠しながら微笑んだ。
恋は、花火と同じで。
きっと、一瞬で終わってしまう。
だから、ぼくたちは。
この気持ちを、恋にはしない。
こんな、幸せを。
ずっと、ずっと続けていたいから……。
『恋にしたくない気持ち』
了