42 『奇跡のような再会と別れに』



最終ひとつ前の山手線の電車は。


思いのほか、空いていた。



さっきまでの喧騒が嘘のように。


車内には、数人の乗客しかいなくて。


ただ、電車の走行音だけが聞こえていた。



ふと、斜め向かいを見る。



えっ?



そこには、何故か君が座っていた。



数年ぶりに君に出逢う。


ぼくは、そんな奇跡のような偶然に驚きながら。


電車を下りようとして立ち上がった君を捕まえた。



「びっくりしたぁ~!」



そう言いながら、微笑んだ君の笑顔が。


あの頃とは、少し違っていたから。



だから、ぼくは。


寂しさとともに、少しだけほっとしていたんだ。



あの頃、ぼくは。


確かに君を愛していた。



そんな、ぼくの気持ちが。


こんな風に偶然に出逢ってしまった今でも。


ただ、穏やかだったから。



「じゃあ、またね!」



そう言いながら、足早に階段を下りる君の。


背中をただ見送りながら。



ぼくは、少しだけ寂しさを感じていたんだ。



これで本当に終われるのかもな、って。



そんなことを……。



『奇跡のような再会と別れに』