39 『肩こりと後悔の雨』
会社を出ると、雨が降っていた。
あんなに良い天気だったのに……。
天気予報だって、たまには当たるんだよな……。
そんなことを思いながら、折り畳み傘が嫌いな俺は。
いつものように、雨の中を小走りで歩く。
まぁ、大した雨じゃないし。
幸いに今日の革ジャケットは雨に強そうだし。
今日は、朝からなんとなく頭が重かった。
軽いめまいと、頭痛がする。
まぁ、たまにあることだから馴れてはいるけど……。
原因は、酷い肩こりなのは分かっていた。
パソコンやケータイを良く使うのが、その原因のひとつだろうが。
俺には、決定的な体の構造の欠陥があるのだ。
それは……異常な、なで肩……。
冗談のようだが、普通の人に比べると。
異常に肩の位置が落ちているらしい。
その結果、肩が凝って首の神経を圧迫してしまい。
頭痛やめまいが起こるということだ。
やれやれ……。
なで肩に生まれた運命を呪いながら、俺は雨の中を歩く。
そんなとき、ふと思い出したのは。
そんな俺の肩を、毎日揉んでくれた彼女のことだった。
「肩揉むの大好きだから大丈夫だよっ!」
微笑みながら、嫌な顔ひとつせず。
ぼくの肩を、いつも揉んでくれた彼女を。
どうしてぼくは、失ってしまったのだろう?
かけがえのない幸せは、失ってから気づくんだって。
ぼくは、冷たい雨に打たれながら。
一瞬、そんな後悔を感じていた。
『肩こりと後悔の雨』
了