34 『見上げた空に輝く月』
少し離れた街に住む君を想いながら。
歩みを止めた、ぼくは。
ゆっくりと、夜空を見上げる。
きっと、君も同じ月を見ているんだと。
そんな、ベタなことを考えながら。
だけど。
今日の夜空は、分厚い雲に覆われて。
星ひとつさえも見えなかった。
ぼくは、ひとつ息をついて。
苦笑いをする。
だけど、目を閉じたぼくは。
瞳の奥に、間違いなく。
まん丸に輝く、月を見ることが出来るんだ。
厚い雲の障害なんて。
ぼくの気持ちには関係ないんだ。
そう。
ぼくが想う。
君への確かな愛の前には……。
革のジャケットの襟を立てて。
ぼくは、歩き出す。
きっと、君も。
同じだと、ぼくは信じられるから。
少しだけ冷たい風に。
ぼくは、幸せを感じていた。
うん。
君と出逢えた幸せを。
確かに……。
『見上げた空に輝く月』
了