24 『一瞬の風が教えてくれたこと』
新幹線のホームって、なんでこんなに暑いんだろう……。
ホームの脇には、すぐ壁があって。
確かに、風が流れるような構造になっていないしな……。
ぼくは品川駅の新幹線ホームで。
噴き出す汗をハンドタオルで押さえながら。
そんなことを思っていた。
最近、なんども大阪に行く。
そう。
君が住む大阪に……。
仕事でバタバタしてるから。
ぼくは、君に逢えないって。
そんな言い訳をしながら。
ぼくは、君と逢うのをためらっていた。
だけど、それは。
本当は、ただぼくに勇気が足りないだけなんだけど……。
君と逢ったとき。
いったい君は、ぼくにどんな顔を見せるんだろう……?
ぼくは、それが不安だったから。
そのとき。
閉ざされた空間だと思っていた、新幹線ホームに。
一瞬、爽やかな風が吹いた。
あぁ、気持ちいいな……。
そんな風を感じながら。
ぼくは、思ったんだ。
ただ、自分が思い込んでいたことが。
本当は、真実とは違うのかもしれないって。
想っているだけじゃ、何も始まらない……。
ぼくは、ケータイで。
君にメールを書き始める。
「今夜、君に逢いたい」って……。
目を閉じると。
君の笑顔が、瞳の奥に見えた気がしたんだ。
うん。
確かに……。
『一瞬の風が教えてくれたこと』
了