11 『また巡る季節を』
秋の爽やかな風を感じながら。
ぼくは、通い慣れた路地を歩く。
突然、ぼくをハッとさせる金木犀の香り。
その香りが。
ぼくに、間もなく来る冬の訪れを感じさせた。
ぼくは、冬という季節が好きだ。
だって。
その季節には、いろいろ大切な思い出があるから。
君とまた過ごす、そんな季節が。
今までと同じように。
きっと、幸せでありますようにと。
ぼくは、そんなことを思いながら。
仕事場への歩を速める。
もちろん、冬だけじゃなくて。
これからの季節も全て、と信じながら。
路地を抜け出した、ぼくの目には。
一気に開けた、真っ青な秋空が映っていた。
『また巡る季節を』
了