9 『親指で紡ぐ物語』



君から届いた、突然のメールに。


正直、ぼくは戸惑ってしまった。



だって、そのメールに。


君は「明日、ぼくに逢いたい」と書いたから。



君とは、もう一年も逢っていなかった。



何回か約束したけれど。


お互いに都合が合わなくて。


結局は、一度も逢えずじまいだったんだ。



最近、急に忙しくなった君からの。


メールは、途絶えがちだったしね。



「明日の夕方、渋谷であなたに逢いたいの」



そんな君の言葉を。


ぼくは、何度も読み返す。



君に、きっと何かが起こっているって。


ぼくは、そんな風に確信していた。



もしも、ぼくが。


本当に、君の力になれるとしたら。


きっと、それは。


ぼくにとって、この上なく幸せなことなんだと思う。



だから……。



ぼくは、山手線の電車に揺られながら。


ぼくの気持ちを込めて物語を紡ぐ。



ぼくは、君の笑顔を思い出しながら思ったんだ。



この物語がハッピーエンドなると良いな。



なんて。


そんな事を。



『親指で紡ぐ物語』