8 『ブーメラン』
君がぼくから離れて行くことなんて。
最初から分かっていたんだ。
ぼくは、君の全てにはなれないし。
君だって、ぼくの全てにはなってくれない。
そのことを、お互いが分かっていたからこそ。
ぼくたちは、最初からわざと距離を置くようにしていた。
だけど、それでも。
ふたり一緒に過ごす時間は、心地良くて。
ぼくたちは、自然とその距離を縮めてしまった。
君が、ぼくに告げた言葉を。
ぼくは、ずっと忘れられないだろう。
「好きになり過ぎるのが怖いの……」
それは、ぼくの気持ちと怖いくらいに同じだったから。
ぼくはもう、君を見守ることなんてしない。
そうしてしまったら、君を忘れることなんて出来ないから。
「もう、何か理由がない限り逢わないほうが良いよね?」
ぼくのそんな言葉に、君は少し困った顔をして。
「理由は作れば良いでしょ?」
と、笑った。
参ったな……。
ぼくは、君のそんな笑顔に。
さっきまでの決心が揺らぐのを感じていた。
『ブーメラン』
了