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「……俺は、一番じゃないとイヤなんだよ……お前の一番じゃないと……」



美弥は、悲しそうな顔を一瞬見せて。


そして、冷静に言った。



「ちょうど良かったかも……わたしね、ヒロキ……ホントに好きな人が出来たの……」


「そう、なんだ…………良かったじゃん、美弥……」


「うん……だから、もうヒロキとは逢えない……ゴメン、ね」



俺は無理して微笑みながら、美弥の顔をじっと見た。



美弥の顔が悲しそうに見えたのは、きっと気のせいだろう。



俺は、美弥にクリスマスプレゼントの包みを渡す。


それは美弥の好きな、スワロフスキーのオーナメントだった。



「じゃあ、な……美弥。幸せになれよ!」



数枚の千円札をテーブルに置いて、俺は席を立つ。



美弥の視線を背中に感じながら、俺は振り返りもせずにエレベーターへと向かった。



左腕に巻いた、古いTUDOR RANGER(チュードル レンジャー)を見る。


針は、午後1時15分を指していた。



胸が痛い……でも、これで良かったんだ……。



俺は、急いで真希のマンションへと向かう。



真希は、部屋に居るだろうか?



真希の住む麻布のマンションまで、そんなに時間は掛からない。



アトレを出た俺は、タクシーに乗り込んだ。



きっと真希は、俺を待っている。



俺は、真希に伝えなければならないことがある。



俺の、本当の気持ちを……。



真希の部屋のインターホンを押す。



何度押しても、反応はない。



真希……。



そして、その日。


真希は、部屋に帰って来なかった。