20


俺は気を取り直して、電話を掛ける。



コールは、7回で繋がった。



「もしもし? あぁ、俺……」


「うん……電話くれるの、ずっと待ってた……」


「……あぁ、うん……お前とは、ちゃんと話し合わなきゃダメだと思ってる。だけど……」


「だけど、何?」


「あぁ、うん……話し合ったとしても、俺の結論は出てるから……」



美佳子は、ひとつ溜め息をついた。



「……もう、どうしても……無理、なの?」


「ごめん、俺……いや、俺たち、もう無理だと思う。無理して、やり直す自信もない……」


「そっか……そんなに嫌われちゃったんだね、わたし……」



美佳子は、悲しそうな声でそう呟いた。



「……ねぇ、ヒロキ……好きな人出来たんでしょ? それって、まさか……」



俺は、美佳子の言葉に動揺していた。



「真希、って言いたいんだろ? でも、それは……違うよ……」



俺は、冷静な口振りで美佳子に言った。



「……もし、そうだとしたら……あなたたちを許さないから……絶対に、認めない!」


「……冷静になれよ……そんなんじゃ、話し合いなんて無理だ……」


「もういいっ!」



そう言って、美佳子は電話を切った。



俺は、酷い男だ。



真希を愛する気持ちは、嘘ではない。


だけど、今そのことを美佳子に伝えて何になる?



美佳子と過ごした時間は、もちろん全てが不幸だった訳じゃない。



だけど俺は今、確実に美佳子から心が離れているのを感じていた。