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「……うん? なーに?」
美弥は、いつもと変わらない甘えた声でそう言った。
「22日の夜は、さ……誰かと逢うんだよね?」
「……どうして、そんなこと訊くの? どうでも良くない? そんなの……」
美弥の声のトーンが、少し変わっていた。
それを感じながら、それでも俺は言葉を続ける。
「あの、さ……22日の夜、さ……俺と一緒に居てくれないか? ずっと、朝まで……」
暫くの沈黙の後、美弥は言った。
「……ごめん……無理だよ……23日に待ってるから……来て……」
「……うん、分かった。……じゃあ、ね……」
美弥の答えは、予想した通りだった。
電話を切った俺は、それでも正直かなり落ち込んでいた。
美弥の言葉が、想像していた以上に俺の心を痛めつけていたのだ。
美弥が他の男とクリスマスの夜を一緒に過ごす。
そのことを考えると、胸が苦しくなる。
だけど、それは美弥のせいじゃないんだ。
こんな中途半端な、俺のせいなんだ……。
俺は、美佳子にメールするのも忘れて。
かなりの時間、ケータイを握り締めてボーっとしていた。
やはり美弥は、俺を選びはしないんだよな……。
ソファーの上で膝を抱えながら、俺は悩み続ける。
もし、俺が美佳子と別れたとしても。
美弥は、俺だけを見てくれるのだろうか?
俺は、自分に自信がなかった。
本当なら、美佳子との幸せを守るべきだった。
だけど、結局俺は美佳子を幸せに出来なかったのだから。