16
「お姉ちゃんが出て行ってから、ずっとヒロキのこと大切に想ってたよ……」
知ってるよ、そんなこと……。
真希……ありがとう。
俺は、心の中だけでそう言って。
ただ、涙を流す真希を見つめていた。
「わたしは、お姉ちゃんの妹だから……ヒロキを好きになってはいけないと思ってた……だけど!」
立ち上がった真希が、俺の背中にすがりつく。
振り向いた俺は、真希の髪を優しく撫でながら。
真希を、ゆっくりと抱き締めた。
「俺、真希を本当に大切に想ってる。だけど、俺は……!」
そのとき、突然。
真希が、キスで俺の言葉を止めた。
真希のキスは甘くて。
俺は、理性を失いそうだった。
妻の妹である真希と、俺は今キスしてる。
真希との初めてのキスが、俺の心を確実に揺さぶっていた。
真希が欲しい。
それは俺の、偽らざる気持ちだった。
このまま、真希を抱いてしまおうか?
でも、俺は……。
真希の両肩を優しく押し戻しながら、俺は真希の瞳をじっと見つめる。
「わたし……きっと、ヒロキを愛してる。ヒロキを失いたくない!後悔したくないの!」
真希の真剣な言葉に、俺の心は揺れ動く。
「ありがとう、真希……俺も真希が大好きだよ……」
俺は真希に、優しく微笑み掛ける。
自分の本心を押し隠しながら……。
「話は分かった……ごめん……ちょっと考えさせてくれないか?」
そのとき真希は、悲しそうに微笑んだ。