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そう言って真希は、寂しそうに微笑んだ。



俺は複雑な気持ちを感じながら、真希に掛ける言葉を選ぶ。



「……そっか!彼氏、忙しいのかな? 仕事……」


「……彼氏っていうか、付き合ってる訳じゃないし……」


「そう、なんだ……」



真希とその男は、どんな関係なんだろう?



真希は、その男に弄ばれているということなんだろうか?



もし、そうだとしたら……。



俺はイライラする気持ちをごまかしながら、真希に言った。



「もし、そいつが真希を大切にしないのなら……やめたほうが良いんじゃないか?」


「……そうかも、しれないね……」



そう言って真希は、潤んだ瞳でじっと俺を見つめた。



しばらくの沈黙のあと、真希が何かを決心したように口を開いた。



「ねぇ、ヒロキ……ヒロキは、わたしの気持ちに気づいてるよね?」


「えっ?」



突然の真希の告白に、俺は動揺していた。



「わたしが、本当に好きなのはヒロキだよ……お姉ちゃんの妹だから、ずっと我慢して来たけど……」



確かに真希は、俺のことを大切に思ってくれていると信じていた。



そして、もし真希が俺を愛してくれたとしたら……。



だけど、それは。


そうならないと諦めていたからこその、妄想だった。



妻の妹である真希が、俺を愛することなんてしない。



もしかしたら俺は、ただそう信じようとしていただけのかもしれない。



そのとき真希が。


テーブルの上に置いた、俺の手をゆっくりと握った。