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真希に対する気持ちは、決して愛ではない。



俺は、そう自分で思い込んでいたのかもしれない。



その日、真希に乞われるままに。


俺はケータイ番号とケータイメールのアドレスを教えた。



真希はその日以来、頻繁に俺に連絡を寄こすようになった。



そして、たまに俺のマンションで一緒に食事をした。



真希自身を知れば知るほど、俺は。


確実に、真希に惹かれていた。



真希は忙しい身だから、頻繁に逢えるわけではない。



俺は迷いながら、それでも真希とのこんな関係が楽しかった。



俺は、それ以来真希と一緒に朝まで時間を過ごしたことはない。



俺は、それ以来真希を抱き締めてもいない。



それは、真希に好きな男が居るのを知っていたこともある。



だけど本当は、俺は怖かったのかもしれない。



真希という存在を失うことが、とても……。



俺は、寂しかった。



信頼していたはずの妻は、俺の元から去って行った。



そんなとき、俺の前に美弥が現れた。



裸の美弥を抱きながら、俺は「愛してる」と呟く。



美弥も、俺をしっかりと見つめながら「愛してる」と言った。



しかし、それはお互いにニセモノの言葉だった。



きっと……いや、そうに違いない。



俺は、美弥に誘われるままに美弥を抱く。



それでも、俺は。


美弥の暖かさを体の芯に感じている、その瞬間だけは。


確かに救われていたんだ。



確かに……。