10
真希に対する気持ちは、決して愛ではない。
俺は、そう自分で思い込んでいたのかもしれない。
その日、真希に乞われるままに。
俺はケータイ番号とケータイメールのアドレスを教えた。
真希はその日以来、頻繁に俺に連絡を寄こすようになった。
そして、たまに俺のマンションで一緒に食事をした。
真希自身を知れば知るほど、俺は。
確実に、真希に惹かれていた。
真希は忙しい身だから、頻繁に逢えるわけではない。
俺は迷いながら、それでも真希とのこんな関係が楽しかった。
俺は、それ以来真希と一緒に朝まで時間を過ごしたことはない。
俺は、それ以来真希を抱き締めてもいない。
それは、真希に好きな男が居るのを知っていたこともある。
だけど本当は、俺は怖かったのかもしれない。
真希という存在を失うことが、とても……。
俺は、寂しかった。
信頼していたはずの妻は、俺の元から去って行った。
そんなとき、俺の前に美弥が現れた。
裸の美弥を抱きながら、俺は「愛してる」と呟く。
美弥も、俺をしっかりと見つめながら「愛してる」と言った。
しかし、それはお互いにニセモノの言葉だった。
きっと……いや、そうに違いない。
俺は、美弥に誘われるままに美弥を抱く。
それでも、俺は。
美弥の暖かさを体の芯に感じている、その瞬間だけは。
確かに救われていたんだ。
確かに……。