8
こんな時間に、真希ちゃんがどうして……?
そのとき俺は、予想もしなかった状況に動揺していたに違いない。
真希をリビングに通して、革張りのソファーに座らせる。
俺は真希に冷たい麦茶を出しながら、こう言った。
「ありがとう……心配して来てくれたんだよね?」
そんな俺の言葉に答えるでもなく、真希は泣き続けていた。
困ったな……。
俺は真希の隣に座って、泣き続ける真希をただ見つめていた。
しかし、なぜ真希は俺のところに来たのだろう?
真希自身に、何かがあったのだろうか?
いや、きっとそうに違いない。
そのとき、真希がゆっくりと口を開いた。
「……ママからメールが来たの。お兄さんが一方的に悪いように書いてあったけど、私は知ってるから……」
「えっ?何を知ってるの?」
俺たちの夫婦生活を、真希は何も知らないはずなのに……。
「わたしは、お姉ちゃんのこと良く知ってるから……」
そうか……。
俺は、そのとき気づいたんだ。
きっと真希は自分自身を今の俺の状況に重ねているんだ、ということに。
真希にとって、今の俺は唯一の味方なのかもしれない。
逆に言えば、俺の唯一の味方は真希ということなんだよな……。
そのとき、突然。
真希が、俺にゆっくりと抱きついて来た。