シャワーを浴びた俺は、腰にバスタオルを巻いただけの姿でバスルームを出た。



そのまま、まっすぐにベッドへと向かう。



背中をこちらに向けた形で、美弥はベッドに横になっていた。



「美弥……」



あれっ?寝てるの、かな……。



美弥の顔を覗き込むと、美弥は眠っていた。



涙を、流しながら……。



美弥の涙を見た俺は、何故だか胸の痛みを感じていた。



美弥……。



俺は、美弥の髪を撫でながら。


美弥の左頬に、優しくキスをする。



そばにあった、薄い羽毛布団を美弥に掛けて。


俺は、バスルームへと戻る。



ゆっくりと服を着ながら、俺は考えていた。



俺は、本気で美弥を愛している訳ではない。



だけど、どうしてこんなに苦しいんだろう?



俺は美弥にとっては、何人かの男の内の一人でしかないはずだ。



美弥の涙は、きっと。


俺に対する涙なんかじゃない。



それに、俺だって美弥と同じなんだ。


俺は、美弥だけを愛するなんてしない。



美弥の部屋を出た俺は、夜風の冷たさに震えた。



それは、もしかしたら。


俺は、自分自身の心の冷たさに震えていたのかもしれない。



透き通った暗闇が、俺を包んでいた。



そのことが何故か、今の俺には心地良い。



恵比寿駅に向かいながら、俺は美弥と出逢ったときのことを思い返していた。



あのパーティーで、美弥と出逢わなかったとしたら。


俺は今、幸せだったのだろうか?


いや、それとも……。