19
君の、おかげなんだよ。
全部。
ぼくは、涙を流しながら。
君がいる病室の方を向きながら、頭を下げた。
本当に、ありがとう。
それからぼくは、世界中の旅に出た。
日本各地、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、北米、中米、南米。
様々な場所に行って、様々な人たちに逢う旅だ。
そんな旅から帰る度に、ぼくは彼女の元を訪れた。
そして、その旅で出逢った笑顔の話をする。
もちろん、彼女に撮った写真を見せながら。
あれから、何度目の夏なんだろう?
ぼくは。
ベッドに寝ている君の顔を、じっと見つめた。
そして、心の中でいつものように。
「ありがとう」と言った。
全部、君のおかげだよ。
ぼくは、いつもそう呟く。
そして、ぼくはずっと願っているんだ。
また、ゆっくり話そうよ。
写真のことや、ぼくたちの未来を……。
今度、また。
ゆっくりと、ね。