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彼女が見せてくれた写真は。
街なかの風景や子供の表情が、とても自然に撮れていた。
良い写真だ……。
写真を見れば、撮った人がどういう人か分かる。
ぼくは、そんな写真を撮る彼女のことが。
その時、大好きになってしまったんだ。
それから、ぼくたちは。
たまに逢って、写真の話をするようになった。
そして。
ぼくは、逢うたびに彼女のことが。
どんどん好きになっていった。
でも。
ぼくは、彼女と付き合う気にはなれなかった。
彼女の気持ちだって、良く分からない。
そして。
ぼくは、彼女にふさわしい男だとは思えなかったからだ。
「ねぇ。一緒に写真撮りに行きましょうよ。教えてよ、撮り方!」
そう誘ってくれる、彼女を。
ぼくは、適当な返事をしながらごまかしていた。
ぼくは仕事で使っていたカメラを、すべて処分してしまっていた。
今持っているカメラは、古いライカとケータイのカメラくらいだった。
「あのさぁ。どんな写真が撮りたいって思ってるの?」と、ぼくは彼女に聞いた。
「うん?……そうねぇ、そう!思いっきりの笑顔の写真が撮りたいな!」と、彼女は笑った。