『君の瞳が、ぼくの目になるとき』 和泉ヒロト
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2006年、東京。
ぼくは毎日をただ、なんとなく過ごしていた。
カメラマンの仕事は、3年前に辞めた。
雑誌のカメラマンとして、やっと一人前になれたけど。
でも。
好きで始めた仕事だったはずなのに。
自分が撮りたいものを、撮れる訳じゃない。
逆に。
見たくもないものを、見たり……。
やっぱり。
撮りたいものなんて、仕事では撮れないんだって気づいた。
そして。
複雑な人間関係にも、疲れてしまったし……。
今、ぼくは。
普通のサラリーマンとして、仕事をしている。
自分が選んだことだけど。
仕事がらみだけの、人間関係。
家と会社を、往復するだけの毎日。
そして。
休みの日は、ただボーッと過ごすだけ。
そんな毎日。
時間だけが過ぎていく、意味のない生活……。
ぼくは、自分で逃げたにもかかわらず。
それを誰かのせいにしていた。
そして、逃げた先でも。
ぼくは、満足出来ない生活を送っていたんだ。