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ぼくは、急いでケータイを開く。


それは、有香からのメールだった。



Sub : ハル……


ありがとう。


ハルは、ちゃんとこの場所に来てくれたんだね?


でも、やっぱり私たちの今までの関係は。


ちゃんと終わりにしなくちゃいけないと思うの。


さようなら、ハル……。



ぼくは呆然と、そんなメールを見つめていた。


やっぱり、そうなのか有香……。



そのとき。


カシャッ、とシャッターが落ちる音が間近に聞こえた。



シャッターの音がした方を、ゆっくりと見ると。


そこには、キャノン EOS Kiss デジタルを構えた有香がいた。



有香が、写真に興味ないなんて。


それは、ぼくのただの思い込みだったんだ。



有香は、一眼レフのデジタルカメラで。


有香からのメールを読む、ぼくの姿を撮影していた。



それは、ぼくたちの原点であり。


ぼくたちの未来にも繋がる、4枚目の写真を……。



有香が、ぼくの方にゆっくりと近づいてくる。



涙を流しながら、有香は。


そして、大きく手を広げながら言った。



「初めまして、ハル……」



ぼくは、有香に包み込まれるように。


ゆっくりと、しかし強く有香を抱き締める。



そしてぼくたちは、ゆっくりとキスを交わす。



お互いをちゃんと理解して、受け入れること。


それが、今のぼくには確実に出来るんだ……。



ぼくは、そう強く思いながら。


有香との幸せな未来を確信していた。



初夏の爽やかな風が、ぼくたちを優しく包んでいた。



それは、まるで。


ぼくたち家族の、新しい幸せを祝福するかのように……。



『ライカとkissと、君からのメール』




2008.9.7 CopyRight by Hiroto Izumi