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ぼくは、急いで洗面所に駆け込んだ。
バシャバシャと顔を洗って、急いで髪を濡らす。
歯を磨いて、髪の毛をワックスでサッと整える。
「エルマー……行って来る!」
ぼくは、そうエルマーに声を掛けて。
マンションの部屋を飛び出した。
小走りに、青物横丁の駅へと向かう。
すぐに電車は来る。
そして、それは青戸行きの急行に違いない!
そんなことを考えながら。
ぼくは、駅のホームへのエスカレーターを駆け上がった。
行き先掲示板を見る。
次の電車は、青戸行きの急行電車だった。
悪いジンクスは、もう終わったんだ……。
ぼくは、そう信じながら。
目を閉じて、想像していた。
あの場所で、有香は待っている。
ぼくのことを、必ず……。
そして、ぼくは。
何も言わずに、有香をギュッと抱き締める……。
電車が、ホームに入って来た。
ぼくは、電車に飛び乗って。
いつものように、ドアのそばに立つ。
有香は、間違いなく待っている。
ぼくと有香の大切な、あの場所で……。