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ぼくは、1泊の予定をやめて。


日帰りで東京に戻って来た。



有香は、ぼくの一日前に。


ぼくが取るであろう行動を見透かして。


確かに、そう行動していたはずだ。



本当なら、ぼくは。


今頃、軽井沢にいる。


有香は、そう思って今日この部屋を訪れたのだろう。



でも有香は、どうしてこの部屋を訪れたのだろう?


やはり、エルマーのことが心配だったのだろうか。



うん?


そうか、カギか!?



ぼくは、一度マンションの郵便受けを確認するために部屋を出た。



郵便受けの中には。


何も書いていないレポート用紙に包まれた、カギがあった。



有香から返されたカギが。


もう全ての終わりを告げているように。


ぼくは、感じていた。



いつの間にか、玄関の外は。


暗闇に包まれ始めていた。



ぼくは、ふぅっとひとつ息を吐いて。


トボトボと部屋に戻る。



もう「エルマーのブログ」を探しても。


意味が無いのかもしれないな……。



部屋に戻った、ぼくは。


それでも、パソコンを立ち上げていた。



いずれにしても、ぼくは。


納得したかったのだ。



もう、有香のことを失ってしまっていたとしても……。