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マンションのドアを開けると。
エルマーがニャアと鳴いて。
弾むように、ぼくに駆け寄って来た。
「よーし、エルマー!元気だったか?」
ぼくは、エルマーを抱き上げながら。
頭をやさしく撫でた。
エルマーは、目を細めながら。
ゴロゴロと喉を鳴らして喜んだ。
リビングに入ったとき。
ぼくは、ちょっとした違和感を感じていた。
まさか?
有香!?
ぼくは、マンションの部屋を急いで見て回る。
もちろん。
そこに、有香の姿は無い。
ぼくは、ひとつため息をついて。
リビングのソファーに腰を下ろした。
うん?
エルマーのエサ用の食器を見た、ぼくは。
ハッとしていた。
エルマーのエサが、朝よりも増えていた。
そして、エルマーのトイレも。
きれいに、掃除してあった。
ソウルから帰ってきたときとは、明らかに違う……。
そして、有香は。
ぼくにまだ、マンションのカギを返していなかった。