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有香は、エルマーを拾ったと言った。



確かに、ただそれだけの理由だったのかもしれない。



かわいそうな子猫を見つけたから。


心の優しい有香は、エルマーを連れて来ただけなのだろう……。



エルマーは、元気にしているだろうか?



ぼくは、マンションの部屋にいる。


エルマーのことを考えていた。



そのとき、突然。


軽井沢に来る新幹線の中で見た夢を。


ぼくは、思い出した。



夢の中で、有香は確かに言った。


「……あたし、家族になりたい。ハルと、私たちの子供と家族に……」と……。



それは、ただの夢なのかもしれないけれど。


ぼくは、きっと。


有香のそんな気持ちを感じていたんだ。



だけど、ぼくは有香との生活の中で。


そんなことには、気づかないフリをしていた。



エルマーは、確かに。


ぼくたちの家族なんだ。



有香は、エルマーを子供の代わりとして。


ぼくたち、家族を作りたかったのかもしれない。



有香は、本当にエルマーのことを可愛がっていた。


本当の子供のように……。



そうか!


ぼくは、ベンチを立ち上がる。



そのとき、ぼくは。


有香がソウルの空港で言った。


ブログが分かった気がしたんだ。