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旧軽井沢銀座を、しばらく自転車で走って。
ぼくは、テニスコート通りへ右折する。
軽井沢会テニスコートの横を通って。
ぼくは、万平ホテルへと走る。
しばらく走ると、風格のある万平ホテルが見えて来た。
ぼくは、ホテルの入り口で自転車を止めて。
3年前のことを思い出していた。
ぼくたちは、あの夜。
このホテルのバーを訪れた。
古さと風格は、紙一重だと思う。
しかし、やはりこのホテルのバーは。
長い年月が積み上げた、確かな風格があった。
「森の妖精」という。
このバーのオリジナルカクテルを、有香は注文した。
ぼくは、ホットコーヒーを飲みながら。
不思議に落ち着いた時間を楽しんでいた。
落ち着いた色の照明と、木の壁。
エンジ色のじゅうたんが。
いつものぼくたちの生活とは違った。
非日常的な時間を演出していた。
ぼくは、低いテーブルを挟んで。
向かいのソファーに座った有香の顔を。
飽きもせずに、じっと見つめていた。
有香は、少し恥ずかしそうに。
それでも、ぼくの顔をじっと見つめた。
初めてのふたりの旅行は。
とても、幸せだった。
ぼくは、ホテルをボーっと見上げながら。
そんなことを考えていた。