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有香との生活は、ぼくにとって。


間違いなく、かけがえのない幸せなものだった。



ほとんど、週末だけだったけれど。


ぼくは、有香と一緒に時間を過ごした。



軽井沢の旅行から帰って来た頃に。


有香は、一匹の猫をつれて来たっけ……。



「ねえ、ハル……近所でこの子を見つけたの。寂しそうにミィミィ鳴いてて……」



有香は、半ベソをかきながらそう言った。



そのとき、カメラのレンズの手入れをしていたぼくは。


手を止めて、玄関にたたずむ有香のほうへ歩いた。



有香の手の中には、キジトラの子猫がいた。


ミィミィ鳴きながら。


じっと、その子はぼくの目を見つめていた。



「かわいいな……なぁ、有香。ぼくたちで一緒に飼おうよ、その子……」



そのとき、有香は。


とても嬉しそうに笑ったっけ……。



「名前付けなきゃね……ハル、何がいい?」


「そうだな……うーん……」



そのとき、ぼくの頭の中に。


さっきまで手にしていたレンズの名前がひらめいたんだ。



「じゃぁ、エルマーってどう?ぼくの好きなライカのレンズの名前……」


「エルマー、か……。うん、いいね!かわいい名前」



有香は、エルマーを高く抱き上げて。


本当に、嬉しそうに笑っていたっけ……。



エルマーは、間違いなく。


ぼくたちの家族なんだよな……。



ぼくは、そのとき。


そんなことを考えていたんだ。