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次の日。


ぼくは、何もせずに。


出発の時間まで、ホテルの部屋でボーっと過ごしていた。



ぼくは、有香を諦めない……。


そう強く、決心していたとしても。


やはり、ぼくは不安だった。



考えれば、考えるほど。


昨日、有香がぼくに取った態度の意味が。


ぼくには理解できなかった。



有香も、きっと悩んでいるに違いない。


そうは、思っても。


有香の気持ちが、ぼくは理解できないでいた。



ほとんど眠れないままに。


午後1時に、ぼくはツアーバスに乗り込んだ。



金浦(きんぽ)空港へと向かうバスの中で。


ぼくは、独りため息をつく。



空港に着いて。


ぼくは、出発の手続きをするために。


2階の、出発手続きカウンターの前に並んだ。



左を見ると。


ちょうど一日前に、ぼくがずっと座っていたソファーが見える。



昨日のことを思い出した、ぼくは。


胸が苦しくなるような。


背中がゾクッとするような。


そんな悲しみに包まれていた。



だけど、それでも。


ぼくは、まだ有香を追う。



こんなことを続けていても。


本当に意味があるのか?って。



そのとき、ぼくの心は。


正直に言うと、葛藤を始めていたんだ……。