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売店を出た、ぼくは。
また同じソファーに戻った。
ちょっと硬いパンをかじりながら。
ぼくは、時間が過ぎるのを待つ。
時計の針が2時を回ったころ。
出発ロビーに、大勢の日本人観光客が入って来た。
ぼくは、ソファーを立ち上がって。
有香の姿を捜す。
しかし。
何百人という観光客の中に。
有香の姿を見つけることは出来なかった。
有香……。
有香は、ここには現れないのだろうか?
ぼくは、そんな不安な気持ちを押し殺して。
それでも、目を凝らして有香を捜す。
出発の手続きカウンターを行ったり来たりしながら。
ぼくは、必死で有香を探した。
有香は、いない……。
やっぱり、ぼくの予想は外れたのだろうか?
ぼくは、またソファーのところに戻って。
ドスンと腰を下ろす。
頭を抱えて、髪を掻きむしりながら。
ぼくは、また自信を無くしそうだった。
夜まで待ってみようか……。
でも……。
ふと目を上げた、そのとき。
ぼくは、遠くに有香の姿を見つけたんだ。