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目を閉じると、いつも。


ぼくが思い出すのは、有香の笑顔だった。



閉じた、ぼくのまぶたから。


一粒の涙が溢れ出す。



そして、その涙は。


勢いを増して、数を増しながら。


ぼくの頬を、ポロポロと伝い落ちた。



有香が消えてからの、ぼくは。


ずっと、そんな風に過ごしていた。



離れてみて、初めて。


ぼくにとっての、有香という存在が。


どれほど大切なものだったのかを痛感していた。



「離れてから気づくんじゃ、もしかして遅いのかもしれないよね……」



そんな、有香の言葉が。


ぼくの勇気の炎を掻き消そうとしていた。



目を開けると。


鏡の中に、涙をこぼすぼくの姿があった。



目を真っ赤にした、そんな姿に。


ぼくは、自分の情けなさを実感していた。



でも、ぼくは。


それでも、この場所にやって来たんだ。



韓国のソウルまで、はるばる……。



それでも、ぼくは。


思いっきりの勇気を持って、ここまでやって来た。



それでも、間違いなく。


サインを残してくれた、有香を。


ぼくは、まだ信じることが出来たのだから……。