43
金浦(キンポ)空港から、ツアーバスに乗って。
ぼくは、ソウルのホテルへと向かった。
飛行機の中でも、感じていたことだが。
こんなツアーに男ひとりで参加するのはかなり珍しいようだ。
20代~40代の女性客がほとんどで。
ぼくは、そんな女性たちから好奇の。
……いや、怪訝な目で見られまくっていた。
確かに、男ひとりの参加者は怪しすぎるだろう。
男がいるとしても、2~3人のグループで。
元々そんな客も、ほとんどいないのだから。
いったい何をしに来たのだろう?
仕事って感じでもないし……。
たぶん、そんな風に思われてるんだろうな……。
ぼくは、そんなことを思いながら。
そんな怪訝な視線には、そ知らぬふりをしていた。
羽田空港で買った、ソウルのガイドブックに目を落としながら。
ぼくは、あの日の有香のことを思い出していた。
あの日、ぼくは。
有香と行く、初めての海外旅行に。
とてもテンションが高かったような気がする。
今回と同じような時間で。
ぼくたちは、ソウルにやって来た。
あのときも、こんなツアーバスに乗って。
ソウルのホテルに向かったっけ。
ロッテホテルに入った、ぼくたちは。
ツインルームのそれぞれのベッドの上で、荷を解いて。
そして、窓からの夜景を見た。
ぼくは有香を、やさしく抱き締めながら……。