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レンタカーに乗った、ぼくは。
あの日、二人で泊まった旅館へ向けて車を走らせた。
車を走らせながら、ぼくは思ったんだ。
有香は確実に、ぼくにヒントをくれた。
しかも、そのヒントは。
ぼくと有香だけしか分からない、特別なものだ。
有香は、きっと。
ぼくの気持ちを試しているんだ。
それは、悪い意味で試しているということじゃなくて。
二人で過ごした時間が、本物だったという証明を。
いや、本物だったという事実を。
有香自身も欲しかったんだと、ぼくは思っていた。
ぼくは、間違いなく有香に。
ずっと不安な思いをさせていた。
もしも、ぼくが。
有香の残したヒントに気づくことが出来なければ。
ぼくと有香の未来は、確実になくなってしまう。
いや、もしも、そうであれば。
ぼくと有香は、一緒にいる意味がないんだって。
ぼくは、思うことが出来たんだ。
およそ20分ほど走って。
ぼくは、みなかみの温泉街の外れにある旅館に着いた。
あの写真が撮られた前日の、土曜日に。
ぼくと有香は、この旅館に泊まった。