22
ぼくは有香の仕事のことさえも、良く知らなかった。
有香は、フリーのコピーライターで。
広告の仕事をしているということは、知っていた。
だけど。
どこの広告代理店で、どんな仕事をしていたのか。
どんな人たちと仕事をしているのか。
それさえも、ぼくは知らなかった。
いや、本当のことを言えば。
ぼくは、それを知ろうとしなかったのだ。
有香が残した3枚の写真を、もう一度眺めながら。
そんな思いが、ぼくの心を締め付けていた。
だけど。
ずっと、そんな想いを感じながら。
ただ後悔していても、仕方がない。
もう、時間は戻らないのだから……。
今のぼくに出来ることは。
有香が残した3枚の写真の意味を、知ることだけだと思う。
有香の気持ちを、ちゃんと理解して。
有香を必ず、捕まえる。
もう一度、有香の心を……。
ぼくは、もう。
自分のジンクスを信じない。
有香は、必ずぼくの元に戻ってくる。
いや、ぼくが有香を。
必ず、連れ戻してみせる……。