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「うん、いいよ、ハル……。ハルと一緒なら、わたしはどこでも……」



そのとき、ぼくは。


そんな有香の言葉を、ちゃんと聞いていなかったんだと思う。



有香の言葉の意味を、ちゃんと……。



ぼくは、J-TOURを見に行けることに、もう夢中で。


有香の気遣いや、有香のしたかったことを。


ちゃんと思いやることなんて、出来なかったんだ……。



ぼくのしたいことを有香は、いつも微笑んで許してくれた。



だから、ぼくは。


有香の気持ちを思いやるよりも、先に。


それが、当たり前のことだと思っていた。



それが当たり前だって、ずっと……。



ぼくは、ひとつ大きく息を吐いて。


もう一度、写真をじっと見る。



この写真で、有香は。


いったい、ぼくに何を伝えたかったのだろう?



ぼくは、その写真を見ながら考える。



しかし、やはり。


ぼくは、確信が持てる答えを導き出すことが出来なかった。



それよりも実は、ぼくは。


写真を見ながら、有香との生活をいろいろと思い返してしまっていた。



果たして、ぼくは。


有香の何を知っていたのだろうか、とまで考えながら……。