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だけど私、もうハルとは一緒に居られないよ……。
最近、正直に言うとね。
ハルと一緒にいるのが、苦しくて、寂しかった……。
だから私は、ハルを幸せにしてあげることも出来ないと思う。
私は、東京を離れようと思います。
私のこと、探さないでください。
今まで、本当に楽しかったね。
ハルと過ごした時間は、絶対に忘れません。
私の荷物は、ハルの部屋からさっき持ち出しました。
勝手に、ごめんなさい。
エルマーのこと、よろしくね……。
私は、ハルと一緒に過ごせて本当に幸せでした。
本当にごめんなさい。
そして、ありがとう……。
有香
「なんなんだよ、これ……」
ぼくは無意識に、そんな独り言を呟いていた。
そして、かすかに震える指で。
有香の電話番号を、アドレス帳から呼び出し電話を掛ける。
「……お掛けになった電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめになって、もう一度お掛け直しください
……」
有香は、本気なんだ……。
ぼくは、早足で地下鉄の駅に向かって歩き出す。
落ち着け、落ち着け……。
ぼくは、自分自身でも明らかに動揺しているのが分かっていた。
だけど、こんなときだからこそ。
ぼくは、冷静にならなければいけないと思っていたんだ。