電車の行き先表示盤を確認すると。

次の電車は、やはり品川行きの各駅停車だった。


やっぱり、な……。


ぼくは、ニガ笑いしながら。

ホームを覆う屋根の隙間から見える青空を、ゆっくりと見上げる。


有香は、いま。

何をしているんだろう?


ぼくは、心の中で君の名前を呟く。

漠然とした不安が、ぼくの心の一部を支配し始めていた。


もしかしたら、有香は。

ぼくから、離れて行ってしまうのではないだろうか……?


いや、まぁいいや!

そんなことを考えるのは、やめておこう。


ホームに滑り込んで来た真っ赤な電車に。

ぼくは、有香のことを考えるのを断ち切られた。


有香は、いつもの笑顔を見せて。

すぐまた、ぼくの前に現れる。


そのときの、ぼくは。

確かに、そう信じようとすることが出来たから。



都営浅草線の東銀座駅に着いた、ぼくは。

古びた階段を上って、地上へと出る。


明るい日差しが、銀座の街を包み込んで。

ぼくは、久しぶりにワクワクするような気持ちを感じていた。


三越の前まで歩いて。

ぼくは、ライオン像の前で立ち止まる。


ライオンの座る台座の周りには。

数人が人待ちをしていた。