「ねぇ、たまには写真でも撮りに出かけたら?……最近全然撮ってないでしょ?写真……」


洗濯物を干し終えた君が、ぼくに声を掛ける。



確かに、その通りだった。



以前は、休日になると。


ぼくは良く、銀座や原宿に写真を撮りに出かけていた。



しかし、ここ1年はまったくといっていいほど写真を撮っていない。



休日は、君とのんびりと過ごす。


それが、ぼくの当たり前になっていたからだ。



写真に興味のない君と。


一緒に写真を撮りに行くなんて、ぼくには考えられなかった。



ぼくは、いつの間にか。


そんな風に、勝手に決め付けていたんだ。



「あのね、明日わたし実家に帰ろうと思って。今夜、早めに帰るね。だから明日、写真でも撮ればいいのに、と思ってね……」


そう言って、君は。


柔らかく笑った。



その日の夕方。


玄関でハイヒールを履きながら、君はぼくに言った。


「連絡するね……」と、微笑みながら。



その笑顔が寂しそうに見えたのは。


きっと、ぼくの気のせいだろう。



ぼくは、そんな不安を。


フッと笑いながら、打ち消した。