その14
「あたしが、話すから……」
ぼくの隣に座ったチカが、しっかりとした声でぼくに言った。
「あたしは、ユージが好きだった。だけど、そのことはユージに伝えなかった……それは、きっと……今思えば、恋愛感情ではなかったんだと思う……」
チカは、ぼくの横顔をしっかりと見つめながら言葉を続ける。
「ユージがロンドンに行くとき、頼まれたの……コージと仲良くしてくれって……」
ぼくは、チカの言葉に混乱していた。
「何故だ、ユージ……何故そんなことを?」
「それは……やっぱり、お前とお袋のことを知りたいって思ったからだよ……どうしてるのかってさ……それをチカに伝えてもらおうと思ったんだよ……」
そうだったのか……。
「最初は、そんなキッカケでコージと出逢った。ほんの軽い気持ちで、あなたをユージって呼んだの。だけど……あたし、本気でコージが好きになってしまったの……だけど……」
何故チカは、ずっとぼくをユージと呼んだのだろう?
ぼくは、何故か冷静にそんなことを考えていた。
「ごめんなさい、コージ!あたし……好きになればなるほど、嘘をついて来た自分が許せなかった……途中から、コージって呼べなかったんだ……」
ぼくはチカのそんな言葉を聞きながら、決心していた。
そして、チカにこう告げたんだ。
「……俺たち別れよう、チカ……」って……。