その4
いくら見た目がそっくりだといっても、ぼくはユージではない。
だから、チカにはすぐにバレると思っていた。
だけど、それでもチカは、ぼくをユージだと信じて疑わなかった。
ぼくはチカとユージの関係を、何気なく、少しずつ聞き出していった。
チカとユージは、あるSNSで出逢ったらしい。
そして、そのサイトを経由してメッセージのやり取りを重ねていた。
実際にはチカとユージは、一度しか逢っていない。
そして、逢ってからしばらくして、ユージは日本を離れた。
チカとユージは、約束をしていたんだ。
あの日曜日に、ハチ公前で逢おうって。
ユージは、日本を離れることをチカに告げていた。
戻って来る気もないくせに、ひどいヤツだよな、ユージは……。
そして、待ち合わせをしたその日に、ぼくとチカは偶然に出逢ってしまったんだ。
チカは、無条件でぼくを愛してくれた。
いや、無条件でユージを愛していた。
ユージとチカ、ふたりの関係はユージが日本を離れたことで途絶えたはずだった。
しかし、ぼくと出逢ってしまったことで、チカとユージの関係は、リアルに始まってしまった。
偽物のユージ(つまりぼく、コージ)との関係が……。