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もうすぐ、品川だな……。


ぼくは、これから逢う亜紀のことを考える。


ぼくのほうから、離れなくたって

亜紀のほうから、離れて行ってしまうのだろうか?


亜紀から届いたメールが

ぼくの心を、不安にさせていた。


ぼくは、藤香のことを考えながらでも

やはり、亜紀のことをいい加減には考えられなかった。


亜紀を疎ましいと思ったり

刺激がない、とつまらなく思っていたことが

今では、本当にバカだったと思う。


考えてみれば、亜紀は

いつも微笑んで、ぼくのそばに居てくれた。


ぼくにとっての現実は

間違いなく、ここ数年の亜紀との生活だった。


亜紀は、いつも頼りないぼくを支えてくれていたんだ……。


ぼくは、亜紀と間違いなく幸せな時間を重ねて来た。


そんな大切な存在である亜紀を失ってしまうことが

どれだけ辛いことなのかと

今になってぼくは、ようやく気づくことが出来たのだ。


そして、もし亜紀がぼくから離れてしまったとしても

だからと言って、ぼくは藤香を追うという訳にもいかない。


それとこれとは、全く別の話なのだから……。


ぼくを乗せた山手線の電車は

いつの間にか、品川駅のホームに滑り込んでいた。


ぼくはもう、ちゃんと結論を出さなくてはならない。


「よし、行くか……」

ぼくは、開いた電車のドアから

勢いよく、品川駅のホームに降り立った。