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「ありがとう……もう大丈夫だから、独りにしてくれないか?」
ぼくは、葵にそう言った。
「……うん、分かった……でも、何かあったらすぐ連絡してよね」
葵は少し不安げに、ぼくの部屋を出て行く。
独りになった、ぼくは
ベッドに寝転びながら、考えていた。
藤香の気持ちを思うと
ぼくは、もう藤香を追うべきではないと思う。
でも……。
ぼくの気持ちは、どうなんだろう?
ぼく自身の、本当の気持ちは?
藤香と一緒に居たい、と思う。
でも、それは藤香を苦しめることになってしまうに違いない。
それは、ぼくのわがままではないのか?
でも……。
仕事のことだって、そうだ。
いい加減に、放り出すことなんて出来ない……。
ぼくは、亜紀を捨てて
藤香を、また追うべきなのだろうか?
そんな様々な思いが、ぼくの胸を締めつける。
そして、亜紀からのメールが
ぼくを、不安にさせていた。
それは、自分が思っていた以上に
ぼくを苦しめていたのだ。
結論の出ないことを考え続けていると
この現実が、すべて夢だったら良いのにと思う。
しかし、それでは今までのぼくと同じだ。
ぼくは、現実から逃げようとして
不都合な事実を、記憶から消して来た。
しかし、もう
ぼくは、逃げたくはない。
頭の痛みも、もう襲って来ない。
ぼくは、この現実を受け入れる。
そのとき、ぼくは
そう決心していた。