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「なぁ、葵……藤香は、俺に逢いたいって手紙をくれたんだ……」

「うん……知ってたよ……藤香ちゃんは、一生懸命手紙を書いてた……何度も、何度も書き直しながら……」


そうだったのか、藤香……。


ぼくは、葵の言葉に

また、激しく胸が痛んでいた。


辛かっただろうに……

藤香は、あんなキレイな字で手紙を書いてくれたのか……。


ぼくの口から、無意識に言葉が出ていた。

「藤香に逢いたかった……いや、俺に逢わせてやりたかった……そんな状態なら、尚更……」



葵が、苦しそうに口を開く。

「これは、内緒にしようと思ってたんだけど……やっぱり、話すね……藤香ちゃんは、お兄ちゃんに逢ったんだよ……ミッドタウンの前で確かに……」

「えっ?」


ぼくは、葵の言葉に混乱していた。

藤香は、ぼくに逢っただって?


どうして……

いや、そんなバカな……。


「どういうことなんだ? 教えてくれ! 葵!」


葵は、ひとつ大きく息をついて言葉を続ける。


「藤香ちゃんは、確かに待ち合わせの時間にミッドタウンの前にいた……車の中から、お兄ちゃんの姿をじっと見ていたんだよ……」

「そんな近くにいたなら、どうして……どうして逢いに来なかったんだ?」

「藤香ちゃんは、言ってた……お兄ちゃんに逢ってしまったら、またお兄ちゃんを苦しめてしまうって……今の自分の、こんな姿をお兄ちゃんに見せたくはないって……」


ぼくの目からは、いつの間にか涙が溢れていた。


藤香は、あの時

ミッドタウンのあの場所で、どんな気持ちでぼくを見つめていたのだろう?


藤香の気持ちを考えると

ぼくは、どうしようもなくやりきれない気持ちだった。