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ぼくは、割り切れない思いで、葵の言葉を聞いていた。
葵が言うことも、確かに理解出来る。
ぼくの状態を考えたら、そうしたほうが良いと誰もが思うだろう。
しかし、ぼくは
それでも、本当のことを知りたかった。
そしてそれは、今からでも遅くないのだ。
「藤香に逢わせてくれ。藤香は……どこに居るんだ、葵!」
しばらくの間をおいて、葵が口を開いた。
「藤香ちゃんは……今日、午後の便でアメリカに行ったよ……プロスタサイクリンを使った、血管拡張療法を続けていたけど……もう限界で……肺と心臓の移植の可能性に賭けて、アメリカに……」
ぼくは、言葉を失っていた。
藤香は、そんな状態でも、ぼくに手紙とメールをくれたのか?
そう思うと、ぼくの胸は更に痛んだ。
藤香は、今でもぼくを愛してくれている……。
そんな、藤香の気持ちを思えば思うほど
ぼくは、やりきれない気持ちになる。
「藤香ちゃんは、自分の体のことを考えたら、もうお兄ちゃんに逢わない方がいいって思ったんだよ、きっと……でも……藤香ちゃんは、お兄ちゃんにずっと逢いたかったんだと思う……」
藤香は、ぼくに逢おうと手紙をくれた。
逢えないことは、藤香自身が一番分かっていたのに……。
それは、藤香の……最後のわがままだったのだろうか?
ぼくは、呆然としながら
部屋の天井を見上げていた。
ずっと、藤香のそばに居てやりたかった……。
そんな、後悔にも似た気持ちが
いま、ぼくの胸を締めつけていた。