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ぼくは、暫くのあいだ

灰になった写真を、ボーっと見つめていた。


こんな事実が、すべて夢だったら良いのに……。

ぼくは、そんなことを考えていた。



そのとき

突然、ぼくのケータイが振動を始めた。


ぼくは、悪い予感を必死で押し殺しながら

デニムのポケットから、auのケータイを取り出した。


「はい……紗弥加さん…………えっ!?」


ぼくは、電話を切りながら

そのまま、部屋を飛び出していた。


「藤香…………藤香!」


ぼくは、左手の痛みをこらえて

古いBianchi(ビアンキ)のクロモリ・ロードレーサーに跨る。


藤香の病院に、向かいながら

ぼくは、藤香との未来を覚悟した。


何があっても

藤香は、絶対に死なせない!

絶対に……。


ぼくは、不安で仕方ない心を

そう言い切ることで、勇気付けるしかなかったのだ。


沙也香さんは、電話で

藤香が倒れて、危ない状態だと告げた。


ぼくは、全速力で自転車を走らせる。


ケガをした左手が

ブレーキをかけるたびに、激しく痛んだ。