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「……治らないんですか? ……何か治療法は?」
「病気が分かってから、5年後の生存率は……ほとんど0なのよ……」
ポロポロと、また涙を流し始めた沙也香さんを見て
ぼくは、この事実が
夢ではないと、悟った。
「……藤香は、自分の病気のことを知ってるんですか?」
沙也香さんは、何も言わずに
ゆっくりと、ただ頷いた。
藤香が検査を終えて、病室に戻って来るまで
その、約一時間の間。
ぼくは、呆然としながらも
藤香に、どう接すれば良いのかを考えていた。
あの頃の、藤香との思い出が
今は、ぼくの胸を締め付けていた。
少し息苦しそうに、病室に戻って来た藤香の顔を見たとき
ぼくは、心の苦しさを押し隠しながら
藤香に、ニッコリと笑いかけた。
「やっぱり、居てくれたね、お兄ちゃん!」
藤香は、そう言いながら
本当に嬉しそうに、ニッコリと笑った。
ぼくは、藤香のそばまで歩いて
そして、藤香の耳元でこう囁いた。
「藤香……大丈夫だったら、少しふたりで歩かないか?」
藤香は、ぼくの目をじっと見つめて
そして、微笑みながら
ゆっくりと、頷いた。