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「お兄ちゃん、でしょ? ずっと逢いたかった……」


えっ?


ふり返ると、そこには

間違いなく、藤香がいた。


「藤香、なのか? …………久しぶり!キレイになったな……」


ぼくの、目の前には

美しく成長した、藤香が立っていた。


しかし

あの頃よりも、更に肌の色は白く

細いカラダが、頼りなさげに見えた。


藤香の、少し青白い顔色に

そのときぼくは、胸騒ぎがしていた。



「沙也香さん、ご無沙汰してます……裕也です」


藤香の病室に入った、ぼくは

藤香のお母さんに、そんな挨拶をした。


「あらっ、裕也くん? ……ホント、久しぶりね! 立派になって……手は、どうしたの?」


相変わらず、沙也香さんは明るくてキレイだった。

しかし、その顔には

確実に、不安と疲れの色が見て取れた。


「ねぇ、ママ! スゴいと思わない? ホント、偶然だよ! お兄ちゃんが突然、目の前に現れたんだから!」


藤香は、本当に嬉しそうにハシャいでいた。


そのとき

「楽しそうなところに、ゴメンね! 藤香ちゃん、検査の時間ですよ!」

若い看護士が、微笑みながら藤香を促す。


「ハーイ! 分かりました! お兄ちゃん、絶対に帰っちゃダメだよ!」

藤香は、そう言いながら

ゆっくりと歩きながら、病室を出て行った。