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「ひろ? 珍しいね、電話してくるなんて……」
葵は落ち着いた風に、そう言った。
お転婆だった葵も、今ではりっぱな大学院生になっていた。
葵は高3の夏に、なぜか急に薬学の勉強をしたいと言って
大学の薬学部に進んでいた。
「ところで、さ……。最近、藤香と会った?」
「えっ、あ、うん…………会ったけど」
葵の声は、明らかに動揺していた。
やはり葵は、何かを知っているに違いない。
「どうしてるんだい、藤香は? 元気にしてるのか?」
「えっ……お兄ちゃん、どうしたの? ……大丈夫?」
葵が少し焦ったように、そう言った。
「えっ? 藤香に何かあったの?」
「……ごめん、今ちょっと忙しいから切るね! じゃぁ!」
「えっ? って、おい! 葵!…………」
藤香に、一体何が起こっているのだろう?
藤香からのメール……
そして葵の、あのリアクションの意味は……?
ぼくは、そんないくつかの疑問をずっと考えながら
その日の仕事を終えた。
何度か葵に連絡を取ろうとしたが
その日は結局、葵とは連絡が取れなかった。
その夜、亜紀は仕事が遅くなるということもあって
ぼくの部屋に来なかった。
ぼくは、もう一度押入れから段ボール箱を取り出して
あの写真を探し始めた。
しかし、どこを探してもあの写真は見当たらない。
本当に、どこへ行ってしまったんだろう?
ぼくは、写真が見つからないことに焦り始めていた。
そのとき
ぼくの部屋のチャイムが鳴った。