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「うん? なぁに? 相変わらず、甘えん坊なんだから! でも、暑いよ!」

そう言いながら、亜紀は楽しそうに笑う。


「買ってきたもの、冷蔵庫に入れてくれる?」

「はいはいっ! アキたん様、了解しました!」


ぼくは、そんな風におどけながら

亜紀が買ってきた食料品を冷蔵庫に入れる。



冷やし中華の支度をする、亜紀が

やっぱり、ぼくは愛おしい。

だけど……。


考えてみれば、亜紀は

こんなぼくと、どうして一緒に居てくれるんだろう?


ぼくは、まだ亜紀との結婚だって考えられない。

言うなれば、そんな中途半端な気持ちで一緒にいるぼくを

亜紀は、無条件で愛してくれていると思う。


ぼくは、亜紀に甘えている。

そのことは、ぼく自身が一番良く分かっていた。


亜紀のことを考えると、こんな中途半端な気持ちのぼくが

亜紀の時間を無駄に使ってしまっても良いのか、と考えることがある。


出逢ったとき26歳だった亜紀も、もうすぐ30歳になる。


「お見合いしろって、ママがうるさいのよね……。もちろんキッパリと断ったけどね!



今年に入ってから、亜紀が初めてそんなことを言った。


実は、けっこう良いとこのお嬢様の亜紀には

良い条件の見合い話が、結構あるらしい。


それでも、亜紀は

ぼくだけを見ていてくれる。


だけどそれが、ぼくにとっては

逆に、プレッシャーになっていたのかもしれない。