17
ひと口だけ麦茶を飲んだ、ぼくは
タッパーを、もう一度藤香に渡す。
藤香は、そのとき
とても、嬉しそうに微笑んだ。
高速道路の下は、川が狭いトンネルになっていた。
身長170センチのぼくが、立ってやっと歩けるくらい
そのトンネルは、狭くて暗かった。
藤香も葵も、この場所まで来たのは初めてのことだ。
「なんだか、ちょっと怖いよ……」
そう言いながら、藤香は
また、じっとぼくの目を見つめた。
「大丈夫だよ! 俺も一緒だから! さぁ、行こう!」
そう、優しく藤香に言いながら
ぼくは、藤香と葵の手をしっかりと握った。
狭くて暗いトンネルを抜けると
目の前には、高いコンクリートの壁が立ちはだかっていた。
「もう、これ以上はムリだな……」
ぼくは、そう藤香と葵に声を掛けて
川岸にある、コンクリートの階段を上がった。
「わぁ、すごい!」
藤香と葵が、驚きの声を上げる。
そこは、一気に視界が開けて
緑の草に囲まれた、小さな池があった。
池の中には、色とりどりの小さな魚が泳いでいた。
きっと、観賞魚の養殖をしているのだろう。
ひときわ目立つ、一本の大ケヤキが
水面と岸に涼しげな日陰を作っていた。
ぼくたちは、その日陰まで歩いて
木陰に座りながら、ゆっくりと上を見上げた。