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広電(広島電鉄)の線路の下をくぐって
さらに進むと、今度はJR山陽本線の線路の下をくぐる。
強い陽の光が、一瞬隠されて
ささやかな日陰が、ぼくたちの体を冷ます。
日向に出ても、川の上を渡ってくる風が気持ち良い。
「気持ち良いね、お兄ちゃん……」
藤香は、小さな声でそう言いながら
サラサラの、少しだけ茶色いショートの髪を風になびかせた。
「ねぇ、この先には何があるのかな?」
藤香が、ぼくにそう訊く。
この川の上流に何があるのかは
もちろん、ぼくは知っていた。
小学校の頃から、何回も
ぼくは、この川を上って遊んでいたからだ。
「うん。何があるのかな? 俺も良く知らないんだよな……」
そう言いながら、藤香に微笑み返すと
じっと、ぼくの目を見つめる藤香の瞳と
ぼくの視線が、真っ直ぐにぶつかった。
恥ずかしそうに顔を背けた藤香の様子を
葵が面白そうに見ていた。
「お兄ちゃん!藤香ちゃんに何かしたの? お兄ちゃんのスケベ! ロリコン!」
「何もしてないってば! なぁ、藤香!」
ぼくは、少し焦りながら葵に弁解する。
「ふーん……お兄ちゃんも、顔赤いよ! そっか、もしかして両思い? やっぱりロリコンだ!」
葵は、からかうように
ぼくに、笑いながらそう言う。
まったく、最近の小学生は……。
そのとき
「……お兄ちゃんは悪くないよ……藤香、ちょっと陽に焼けただけだよ!」
藤香は、そう言いながら
もう一度、ぼくの目をじっと見つめた。